芦原会計事務所は東京都 大田区にて相続対策、事業承継などを得意とする税理士事務所です。

日経一面トップと読者の認識

日経一面トップと読者の認識    2008/06/26 

きょうの『日経新聞朝刊』2006/06/26一面トップに、「上場企業4割実質無借金」の見出――①「手元資金が有利子負債額を上回る実質無借金企業は2008年3月期末に全体の四割(654社)を超え、<中略> 00年3月期末以降で最高となった。」さらに②「負債圧縮の結果、上場企業は金利上昇など金融環境の変化に左右されにくい経営体質にかわってきたといえる。③ただ、手元資金が積み上がった背景には、日本企業が手元資金の有効な活用方法を探しあぐねている事情もある。」そして「<中略>④今後は積み上がった資金を(a)設備投資や(b)株主への利益配分など、企業価値の向上に振り向けることが一段と求められる。」と活字が躍る

 さて、この記事を皆さんはいかがご覧になるでしょうか?  

結論から言います。これは、わが国企業の将来に暗雲立ちこむ状態を意味します。成す術が無い――すなわち、資金を投資する対象がない状態にあるからこそ、①実質無借金・・・なわけです。通常、ファイナンスでは、資本コストを超えるキャッシュフロー(ないし利益)が将来にわたり得られる限り、「実質無借金」などといった状態は考えづらい、とするのが普通です。その場合、株主資本で賄え切れない分は当然、借金に依存すべきであり、むしろ借金は資本コストを圧縮する効果があることから、株主資本よりも企業価値の創出効果が高い、と考えられています。

わが国では、伝統的にその辺りの理解が周知されずに来ましたが、欧米では一般的な考え方です。そこが、金融においてわが国が欧米諸国に大幅な遅れをとっている所以であり、その辺りの理解が無い限り、わが国企業は欧米あるいは中国・インド企業の軍門に下らざるを得ない状況が考えられます。これについては、「ルールは資本主義、思考は社会主義  2008/06/09」  にそのわけを記しましたのでご覧下さい。  

また、実質無借金を「経営者の職務怠慢」とみる、のが欧米流の考え方です。②金融環境の変化に左右されにくい経営体質は、いわば「無菌状態」に等しく、中長期での企業体力の弱体化と企業の官僚化を招くもとと考えられています。

最後に、④の「(a)設備投資と(b)株主への利益配分」とは、いずれも企業価値に繋がるものですが、その性格が全く異なります。(a)設備投資は将来キャッシュフローへ繋がる前向きなものであるのに対して、(b)株主への利益配分はその逆の作用、すなわち、後ろ向きの価値創出策に過ぎないものです。つまり、「村上ファンド」が無能な経営者の退陣並びに資産の返還を要求したのに等しい――「預けた資金で稼げないなら返してください。お宅よりもっと有効な投資先へ預けますから・・・」といった性質のなのです。  

 

芦原会計事務所
〒146-0082東京都大田区池上6丁目1-21フォーラムビル2F
TEL:03-3752-6223 FAX:03-3752-6172
Copyright(C)芦原会計事務所. All Rights Reserved.